3Dプリンタ ALUNAR M508の改良 フィラメントリールホルダを作る
ALUNAR M508の標準のフィラメントホルダはこんな感じです。
早い話がM8の寸切りボルトを軸にしてるだけです。
フィラメントを引っ張るとリールの穴に引っかかって結構な抵抗があります。
この抵抗はプリンタのX軸が動くときの余計な負荷になるので、造形精度やプリンタのベルト寿命に悪影響が出ます。
フィラメントホルダの軸をベアリングにして、抵抗を減らしてみることにします。
1.ベアリングの入手
まず肝になるベアリングの入手です。近所のホームセンターで買ってきました。M8の寸切りボルトにぴったりはまればいいので、軸直径8mmのベアリングを買ってきます。
とりあえずお店で一番安かったNTNの628Zを買ってきました。
軸径8mm 外径24mm 厚さ8mmのベアリングです。このベアリングに合わせてホルダの部品を作ります。
2.ベアリングホルダの設計
フィラメントリールの穴の直径に合わせて段差付きのシャフトを作ります。
そこから中心にM8のボルトが通る穴をあけて、外周に突起をつけます。
そこからこんなスケッチを描いて
押し出しで削るとこんな形状になります。これが何かというと、フィラメントリールに固定するためのツメです。
このフィラメントリールの穴に部分にツメが引っかかることで、パーツを固定することができるようになるはずです。
余計な部分が多いと樹脂が多く必要になり、プリント時間もかかるので、パーツの内側をさらに削ります。
ベアリングを保持する部分を作ります。
ベアリングに干渉しないように穴を広げて、とりあえずは完成です。
3.ベアリングのフタの作成
このままだとベアリングが外れてしまうのでフタを作成します。
ベアリングを接着剤とかで固定するならこのままでもいいと思います。
ただ、作り直したりすることも考えるて、ネジで取り外し可能な固定パーツを作っておくことにします。
新規のボディをベアリングが入る穴の上に作ります。このとき、少しホルダーに重なり合うように作っておいて、「結合」の「切り取り」できちんとはまるようにズレ防止の段差を作ります。
本体と同じ直径の穴をあけてこちらも大体完成です。
4.本体とフタをネジで留めることができるようにする
ホルダ本体からこういった形状の部品を生やします。
そして分割と結合でホルダとフタにネジ留め部分を作ります。
ナットが嵌る穴をあけます。ナットを嵌め込むので、対角線を0.1mm程長くしました。
そのままネジの通る穴をあけます。
裏面にネジの頭が隠れる穴を彫ります。これで完成です。
5.完成図
ベアリング、ネジ、ナットで組み立てて見ます。
とりあえず問題は無さそうです。
6.実際に組んでみる
3Dプリントしたので組んでみます。
ツメがバキバキに折れているのは気にしないでください。
7.設計の反省点
一応CADと同じように完成したのですが、組んでみると反省点がいろいろ出てきます。
7.1ツメが折れる
リールに固定するためのツメがいとも簡単に折れます。
積層構造と、ツメとして機能させるために根元にミゾを彫ったことで断面が薄くなっていることが合わさってちょっと押したら折れるようになってしまいました。
むしろこの構造は「折る」ことを目的とした場合に役に立ちそうです。
このツメはリールに嵌めたときに機能しているか微妙なところで、リールから摩擦で抜けにくくなる程度でほぼ機能していません。
7.2 フタの隙間
フタ固定用のネジを締めるとフタの一方が浮き上がって隙間ができてしまいました。
ネジで一方だけを締め付けたせいです。
機能上は問題ありませんが、この辺を気にするならネジの本数を増やしたほうがいいと思います。
7.3 軸のガタ
そのままだとリールが横に移動してリールホルダが外れる可能性が考えられます。
回転を妨げないように段付きのワッシャーを作ります。
これを組み込むと、回転を妨げずにナットを締めてリールの位置を固定することができます。
8.動画
思った以上に軽い力でしっかり回るようになりました。これで完成です。