シェアハウスの指紋認証鍵のシステムにちょっと携わった話
はじめに
現在入居しているシェアハウスでドアの施錠をどするのかという問題が持ち上がり、スマホから操作できるスマートロックのSESAMIが導入されました。
しかし問題が発生しました。
スマホを一々出してアプリを起動させて鍵を開けるのが面倒なのです。
そこでSUICAや指紋認証を利用して開錠するシステムを作るプロジェクトが立ち上がり、その一端に携わったのでここに記録として残します。
どんなシステムなのか
まず指紋センサーとして選ばれたのはこのセンサーです。
このセンサーとM5stackを組み合わせ、認証情報をシェアハウスのサーバーに送信し、スマートロックを操作します。
どの部分を担当したのか
指紋認証システムのマイコン用ライブラリの移植とセンサ筐体を作成しました。
配布されているライブラリはArduinoUno系専用のため、ESP32を使用しているM5Stackで使用するにはライブラリを書き直す必要がありました。
さらにM5Stackとセンサを取り付ける筐体を作成する必要がありました。
具体的に何をしたのか
指紋認証システムのライブラリ移植
これに関してはqiitaに記事を載せました。
まずはデモソフトを使ってセンサ自体の動作を確認します。
そして開発完了をVScodeに移します。
配布されているライブラリを書き換えて完了します。
筐体の作成
筐体はFusion360を使ってモデリングし、DMM.makeに発注します。
指紋センサのモデリング
指紋センサをモデリングします。
データシートに寸法があるので、そこからモデリングしていきます。
基本的に平面で構成されているので、簡単に完成しました。
M5stackの3Dデータのダウンロード
M5stackの3Dモデルを公開されている方がいたので、ダウンロードさせてもらいます。
このモデルはM5stackの筐体だけなので、厚みを測ってベース部分を作成します。
これで部品が揃ったので、筐体をモデリングします。
筐体のモデリング
まずパーツをいい感じに並べます。
そこから以下の条件で形状を詰めていきます。
- 電源はUSBケーブルで供給するので、側面にUSBケーブル用の穴をあける
- 蓋をつけると構造が複雑になり、はめ合い等も面倒になるので、単体の筐体にする
- M5stackをネジや接着剤等を使わずに固定できる
- プリント代節約のため、可能な限り小型の筐体にする
- M5Stackとセンサーを接続するケーブルを考慮する
- 筐体は壁面に両面テープで接着する
- M5stackは画面やボタンを使えるようにする
この辺を考えて試行錯誤するうちに、下の画像のようなモデルができました。
上の部分からM5Stackを差し込みます。
裏面は下のようになっています
ケーブルを通す空間を作り、ケーブルのソケットをM5Stackの抜け止めにします。
ケーブルを通す空間の寸法は、ソケットを抜き差しすることを考えて決めました。
側面にケーブル用の穴と、電源ボタンを棒で押すための穴をあけておきます。
厚みはDmm.makeに発注する際の3Dデータのルールを参考に、0.8mm以上としますが、見栄えも考慮して2mmとしました。
DMM.makeに発注
上京する際に3Dプリンターを置いてきてしまったので、DNN.makeに発注することにしました。
DMM.makeにstlデータをアップロードして、データに問題が無いことをチェックしてもらった後、素材を選択して発注します。素材は安価なナイロンです。コストは総額で2600円程度でした。
注文から製造開始まで1日、そこから発送まで4日でした。
3Dプリンタの設定でハマると1週間かかったりすることもあるので、これは早いです。
表面はザラザラしていますが運用上問題ないのでこのままです。
センサーの固定にはショート防止のため、プラスチックネジを使いました。
裏側のケーブルのコネクタを取り付けるのに苦労しました。
データ上では問題なく取り付けることができるはずだったのですが、ケーブルが後ろに生えることを失念していたのでキツくなってしまいました。
ここまでが担当でしたので、筐体はソフト担当の人に引き渡しました。
この後、指紋認証システムは完成し、現在シェアハウスで運用中です。
所感
・ライブラリは一見して複雑でしたが、一つずつ要素を分解して整理していくと想像以上にシンプルでした。面倒くさがらずにまず紙等に書いて整理してみると俯瞰できます。
・コネクタの取り付けが難しかった点に課題が残りました。